ワクチンの効果はいつまで続くのか/既に感染し回復した人はワクチン接種不要なのか

  • 2021.05.30

皆さん、こんにちは。東大阪市・鴻池新田の心療内科、「心のクリニック三木医院」の院長、三木です。

最近ようやく巷の医療従事者にも新型コロナウイルスワクチン接種が回り始め、一般向けについては高齢者への優先接種が始まっていますね。

しかし高齢者以外の一般接種はまだまだ先のようで、接種する前に感染してしまう方も少なくありません。

そもそも接種したところで、その効果はいつまで続くのでしょうか?

モデルナ製ワクチン(ファイザー製と同じ、mRNAワクチン)での研究によると、少なくとも半年は十分な抗体量が持続しているようです(下記文献参照/英文、NEJM)。

https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMc2103916

では、その先は?

まだ新型コロナ用ワクチンがこの世に生まれてから1年も経っていない状況のため、その研究結果はありませんが、『既感染者』からそれを推測してみることは可能かもしれません。

1年以上前に新型コロナに感染し、回復した患者の体内に残っている抗体を調べた研究があります。それによると、半年後で98%の方に、1年後で97%の方に、また抗体が残っていたようですが、変異株の場合は抗体保有率が比較的低かった(南アフリカ株・インド株では約70%にとどまる)とのことです(下リンク、横浜市立大学の発表、一部CareNet記事より引用)。

https://www.yokohama-cu.ac.jp/news/2021/20210520yamanaka.html

では、感染を経験してたらもうワクチンは不要なのか?

『既感染者』に対するワクチン単回接種で、抗体がどうなったか調べた研究があります。それによると、’既’感染者がワクチン単回接種した群のほうが、’未’感染者がワクチン2回接種した群よりも、抗体価が高かったというのです(下記文献参照/英文、NEJM)。

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc2103825

また、感染後1,2ヶ月経ってワクチン接種した人より、感染後3か月以上経ってワクチン接種した人のほうが、さらに抗体価が高かったのです。これは、いわゆる「ブースター効果」というやつで、インフルエンザワクチンなど他のワクチンでも見られる、抗体が少し残ってるうちにもう一回打つと強力な抗体価が得られるというものです。

先の横浜市立大の山中教授は、「1年後に再接種し免疫強化を図るのが良いのでは」と述べており、今後そういった研究がなされて裏付けられていく事になる可能性があります。

来年の今頃には、「再接種」の議論がワイドショーなどで盛んかもしれませんね。

それでは皆さん、ワクチン接種した人もしてない人も、引き続き感染予防に努めていきましょう。

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