アストラゼネカ製ワクチンの副作用、「“血小板減少を伴う”血栓症」について

  • 2021.06.06

皆さん、こんにちは。鴻池新田の心療内科、「心のクリニック三木医院」の院長、三木です。

それにしても毎日、テレビやネットで新型コロナウイルスの話題がてんこ盛りですね。

情報も錯綜しており、ヤフコメやワイドショー(夕方や夜の報道番組を含む)のコメンテーターの「個人の見解」に惑わされている一般の方々も多いのではないかと思われます。

さて、日本国内では今、新型コロナワクチンはファイザー製のみ供給されており、まもなくモデルナ製のも供給されます。その二つはほぼ同じ内容のもので、医師向けの某サイト内の解説で「キリンビールとアサヒビールの差くらい」だと書かれるほど似通ったモノです。

一方で、アストラゼネカ製については、副作用で“血栓症”の報告があったのを厚生省が気にして、モデルナ製と同日に国内承認されたにも関わらず国内導入を見送られております。

その血栓症は、「“血小板減少を伴う”血栓症」との事。血小板といえば血を止めるカサブタを作るモノであり、その血小板が減少するのなら、逆に血栓が起こりにくくなってむしろ出血傾向になるのでは、、、と考えますよね。

一見奇妙なこの血栓症について、6月2日付で日本脳卒中学会・日本血栓止血学会が連名で、対応法を発表しました。

https://www.jsts.gr.jp/news/pdf/20210601_tts2_3.pdf

これによると、この血栓症は、病態として「ヘパリン起因性血小板減少症」と似ているらしく、このAZ製ワクチンが「血小板」に関係する「抗体」を作るという可能性を指摘されているというのです。また、血小板に関係する抗体を作るのに少し時間がかかるせいか、この血栓症はワクチン投与直後には起こらず、「接種後4~28日後」に起こるとの事です。

※ヘパリンとは「抗凝固薬」であり、本来は「血栓症の治療薬」です…。

そのヘパリンがこの血栓症に関係すると推測されているために、この病気は血栓症にも関わらず、ヘパリンの『使用を避ける』必要があり、代わりに免疫を抑える「免疫グロブリン製剤」の大量投与を行う事が推奨されています。

これを読んでいる一般の方々は、そんな治療についての知識は不要かとも思いますが、今後アストラゼネカ製ワクチンを受けることになる方であれば、知っておいて損はないかと思います。

それでは皆さん、ワクチン接種した人もしてない人も、引き続き感染予防に努めていきましょう。

PAGE TOP