漢方薬の副作用まとめ(自戒を込めて)

  • 2021.06.19

皆さん、こんにちは。鴻池新田の心療内科「心のクリニック三木医院」の院長、三木です。
当院に来院される患者さんは、いわゆる『神経症圏』の患者さんも多く、普通は抗うつ薬で治療するところを漢方薬で様子見る事も多々あります。
漢方薬は、市販薬としても多くのオリジナル薬があり、皆さん馴染みがあるため、抗うつ薬を使うのにどうしても抵抗のある患者さんには私も漢方薬を薦めがちです。
おととい、医師専用情報サイト『MedicalTribune』で、漢方薬の副作用・注意点・対処法について、東邦大学の東洋医学科准教授の田中耕一郎先生が大変丁寧に記事にされていました。今回その内容の一部を、自戒を込めてここにまとめたいと思います。
副作用①:高血圧
甘草(かんぞう)という成分によって、体中にナトリウムがたまった結果、体がむくみ、血圧が上がる。その多くは漢方薬服用後、2ヶ月ほど経ってからである。重症例では脱力、不整脈、心不全、腸閉塞が起こる。
甘草が多い漢方薬:芍薬甘草湯、小青竜湯、葛根湯、柴苓湯、麻黄湯、抑肝散、甘麦大棗湯、六君子湯など
併用注意:利尿薬、甲状腺ホルモン、インスリン、プレドニン、β刺激薬

甘草を多く含む漢方薬。

副作用②:腹痛
山梔子(さんしし)という成分によって、慢性的に腸の血流が悪くなった結果、腹痛や便秘/下痢、腹部膨満などが起こる。山梔子の「累積使用量」が溜まっていくと起こると言われ、山梔子が含まれる漢方薬を4年以上飲んでいる人は注意が必要である。
山梔子が多い漢方薬:加味逍遙散、黄連解毒湯

女性がよく飲む漢方薬、加味逍遙散。もう何年も続けて飲んでませんか?

副作用③:肝障害
漢方薬の服用患者のうち約7%で起こっているとの報告がある。服用後1年以内で起こるのは44%(つまり半分以上は1年以上経過してから起こる)。黄芩(おうごん)という成分が含まれている漢方薬に起こりやすい。
肝障害の頻度が高い漢方薬:小柴胡湯、柴苓湯、葛根湯

黄芩(おうごん)が含まれている漢方薬。

副作用④:肺炎
特に小柴胡湯は「間質性肺炎」が起こり、死亡例も20例ほど報告されている。その発現頻度は年間0.04%(10万人に4人)で、発現時期は服用後1~5ヶ月。肝障害と同じく、黄芩(おうごん)含有の漢方薬に多い。しかし、補中益気湯などの黄芩を含まない漢方薬での報告もある。

いかがでしたでしょうか。漢方薬を常用していて、高血圧で悩んでいる方、便秘で悩んでいる方などは、その漢方薬の副作用を疑ったほうがいいのかもしれません。当院でもお気軽にご相談ください。

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