妊婦、子供は?各学会のワクチン接種に対する声明まとめ
- 2021.07.04
皆さん、こんにちは。鴻池新田の心療内科「心のクリニック三木医院」の院長、三木です。
医療者向け情報サイト『CareNet』に、上記表題内容を各々の学会のリンク込みで記載した記事が載ってあり、これが今週の医師閲覧ランキング1位の記事でしたので、紹介します。
以下に、自分への備忘録もかねて、内容をまとめてみます。もちろん私自身が各学会の声明文をちゃんと読んでのまとめです(CareNet記事の鵜呑み・コピペではありません)。
【日本小児学会】まずは、子供を守るためにも周囲の大人がワクチン接種することが重要。重篤な基礎疾患(免疫不全など)のある子供は、感染したら重症化するため、ワクチン接種でそれを防ぐことが期待できる。健康な子供は、重症化や高齢者への感染拡大を防ぐためにも、12歳以上ならワクチン接種の意義あり。ただ、疼痛などの副反応の頻度が比較的高いため、(子供でも)十分説明しておくように。なお、ワクチン接種したとしてもマスク着用などの感染予防策の解除は慎重に考えるべき。
【日本産婦人科学会】妊婦は、新型コロナに感染すると重症化しやすい。ワクチン接種は、妊娠初期を含め、妊婦と胎児の双方を守る。また、妊婦と胎児に対し、何らかの重篤な合併症が発生したとする報告はない。副反応(疼痛など)は、妊婦とそれ以外の人とで差はないが、発熱した場合は早めに解熱剤を飲むべき。解熱剤はアセトアミノフェンなら内服しても問題ない。
※この学会声明には、授乳中の方へのワクチン接種についての記載はありませんが、国立成育医療研究センターのサイトに分かりやすい説明文がありましたので、以下に記載します。
http://www.ncchd.go.jp/kusuri/covid19_vaccine.html
これによると、「ワクチンの母乳移行量は非常に少なく、研究ではワクチン成分は検出されなかった。また、もし母乳移行があったとしても乳児に悪影響が出るとは考えられない。これらのことから、授乳中のワクチン接種は問題ないと考える」、とのことです。
【日本血液学会】血液疾患(白血病や悪性リンパ腫など)の患者は、新型コロナ感染後に重症化するリスクが高い。感染したら、原疾患の治療薬(ステロイドなど)で死亡率が上がってしまうため、原則として、原疾患の治療を中断し、新型コロナの治療を優先する。感染に対する治療でPCR検査が陰性化しても、原疾患への治療を契機に再陽性化する場合がある。また、持続的にウイルスが検出され、症状も増悪を繰り返す場合もある。ワクチンは、原疾患の治療薬でワクチン接種後の抗体産生を阻害してしまう(=ワクチンの効果が低くなる)ため、治療薬を中断することも検討する。
【日本神経学会】認知症や脳卒中などの神経疾患を持つ患者に対して、ワクチン接種を強く推奨する。副反応についての神経疾患患者への情報は現時点ではない。感染予防の効果と副反応のリスクを患者本人に説明し、患者本人の同意がある場合に限り、接種されるべきである。
【日本麻酔科学会】ワクチン接種の状況に関係なく、また、接種直後でも、手術を行うことが出来る。ただ、術後の炎症反応による発熱と、ワクチン副反応による発熱を区別するためにも、ワクチン接種と手術の間隔は数日~1週間程度あけるのが望ましい。
(引用終わり)
ひとまずこんなところでしょうか。できれば皆さんも各学会の声明文を実際に読んでみてください。
それでは今日も一日、感染予防に努めていきましょう。