ワクチン接種後、抗体価が著明に低下する人とは?

  • 2021.10.18

皆さん、こんにちは。鴻池新田の心療内科「心のクリニック三木医院」の院長、三木です。

世間的にもワクチン接種が進み、それに伴い新規感染患者数も減ってきて、まるで「終息してきている」ように感じますね。

ワクチンを世界に先駆けて接種してきた“ワクチン先進国”のイスラエルでは、今の日本のように、今年5月から6月にかけて感染者数・死者数がともにほぼゼロになりましたが、6月末以降また増加に転じました。

左が感染者数、右が死者数のグラフ。緑がイスラエル、紫が日本。縦軸は100万人当たりの人数。

このためイスラエル政府は、「マスク義務化」「ブースター接種」「レストラン利用時のワクチン証明書“グリーンパス”提示義務化」を行いました。この成果が出て、9月のピークからこの10月にかけて感染者数が急減しております。

Google検索で簡単に出てくる、感染者数グラフ。

この中で、「マスク義務化」と「グリーンパス提示義務化」は感染予防に有用だとしても、ブースター接種が必要あるのかどうかは(特に高齢者以外の方への接種は)議論の余地があると思われます。

ブースター接種の有用性についてのデータは、以前当院ブログでも紹介しましたが、少なくとも高齢者への有用性はあるといってよく、その他、ウイルス抗体価(=ワクチンや感染によって出来た抗体の量)が少なくなっている方にも有用なのかもしれません。

2021/9/25の当院院長ブログ。

ここで、「ウイルス抗体価が少なくなっている方」とはどのような方々なのか、を調べた研究があります。そのイスラエルにおける、約4000人の2回接種完了者を対象とした、接種後6ヶ月間の抗体価を測定した研究です。

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2114583

その結果としては、
・ブレイクスルー感染(=ワクチン接種者の感染)は20例、N抗体陽性(=過去の自然感染を示唆)は5例。
・抗体価は2回接種後、最初3ヶ月で急激に低下するが、その後は比較的緩やかな低下であった。
・接種して6ヶ月後、抗体価は、男性で特に低く(substantially lower)、また65歳以上の高齢者や、免疫抑制剤の使用者でも低かった。
・逆にBMI 30以上の肥満者では抗体価が高かったが、肥満は重症化リスクでもあるため、肥満が感染予防となるかは不明である。

とのことです。これを鵜呑みにすると、男性を優先接種枠とすることになりますが、政府の判断はどうなりますでしょうか。

それでは今日も一日、感染予防に努めていきましょう。

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